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朝起きたときにだけおこる腰痛。体を動かしていくうちに消えるけど、これはなぜ?
実は、腰痛に悩む人のうち約36%が、朝起きたときにもっとも痛みを感じています。※1また、日本整形外科学会の調べによると、約25%の人が体の動かし始めに腰痛を認めると回答しました。※2
これは、腰には体重の4割もの重さがかかるため、睡眠中に腰への負担が大きくなることに関係しているのです。骨盤の動きと筋肉硬さの仕組みから、起きるときに腰痛がでる原因をひもといていきましょう。

朝起きるときだけの腰痛は血行不良が原因?

朝起きるときだけに腰痛がでるのはなぜ?
実は、朝起きるときだけにおこる腰痛では、腰に病的な原因があることはそう多くありません。
朝起きるときに、腰に痛みを感じる病気として、主に椎間板ヘルニアや腰椎椎間関節症候群、変形性腰椎症があげられます。しかし、朝起きるときだけに痛むことは少なく、足のしびれや同じ姿勢を続けると痛みがでるなど他の症状もみられることが多いのです。
朝起きるときだけに痛みがでる主な原因は、睡眠中に腰回りの血管や神経が圧迫されることと関係しています。血行不良で酸欠状態になり、筋肉の繊維から痛みの炎症物質が多く放出され、起床時に痛みを感じるのです。
また、睡眠中寝返りが少なくあまり体が動かないと、関節や靭帯、筋肉や筋膜などがコリかたまってしまいます。コリかたまることでさらに血管や神経が圧迫され、余計に痛みを感じやすくなるのです。

骨盤の動きが悪い

骨盤の動き

睡眠中に血行不良になるのは皆同じはず。それなのに朝起きるときに腰痛がでる人、でない人がいるのはなぜなのでしょう。
その原因のひとつに、股関節を含めた骨盤の動きの悪さがあげられます。
骨盤の動きが悪くなる原因に

・頬杖や足組みなど長時間の姿勢の偏り
・運動不足や加齢による筋力バランスの崩れ
・筋肉や筋膜の癒着
・関節や筋肉がかたい
・肥満
・長期間の痛みや違和感を無意識にかばう動作

があります。
骨盤の動きがスムーズにいかないと、骨盤の傾きの癖が定着し、骨盤前傾や骨盤後傾となり、姿勢の悪さにつながります。そうすると、寝返りがうちにくくなったり、寝るときに特定の体位が辛くなったりと、余計に腰に負担がかかるのです。睡眠中に腰まわりの神経や血管の圧迫がひどくなり、朝起きるときの腰痛リスクが高まります。
また、痛みを感じる境界には個人差があるため、同じ条件でも朝起きるときの腰痛を感じやすい人と感じにくい人もいるのです。

骨盤が前に傾いている

骨盤が前に傾くと、反り腰、ぽっこりお腹、前ももの張り、内股などの特徴がみられます。骨盤前傾の人は腰が反っているため、仰向けに寝ると辛くなりやすいです。
睡眠時には、丸めたバスタオルを腰の隙間に入れたり、膝を曲げてヒザ下に入れたりしてサポートすることで、朝起きるときの腰痛を緩和できます。

骨盤が後ろに傾いている

お尻が平ら、背中のカーブがないまたは猫背、ガニ股、下腹ぽっこりなどの特徴がみられます。骨盤後傾の人は、寝るときにお尻が沈み込みやすくなります。
睡眠時には、お尻が沈みにくい寝具を選ぶか、お尻周囲に硬めのものを敷いて、なるべく直線的に寝ると寝返りがしやすくなります。※3

筋肉が硬くなると寝返りが減る

筋肉のコリかたまりやこわばりで体の柔軟性が落ちると、就寝中の寝返りが減ってしまいます。
寝返りは、体が無意識におこなう全身運動です。ひと晩で約20回ほどおこなう寝返りは、体の一箇所に負担がかかることを防ぎ、睡眠中に効率的に疲労回復や体の機能の修復作業をしてくれる、とても大切な動きです。しかし、体のどこかにこわばりがあると、睡眠中筋肉の動きがスムーズにいかず寝返りがしづらくなるのです。寝返りが減ると、特に体で1番体重の負荷がかかる、腰周りの血行が悪くなります。睡眠中は痛みをそれほど意識することはありませんが、目覚めると痛みを感じやすくなり、起きるときの腰痛がひきおこされるのです。

筋肉が硬くなりやすい部分

普段筋肉を使わない場所が、1番こわばりやすい部位です。現代人は、前方を見続けたり、前にかがんだりと体の前面は比較的使うものの、反らしたりねじったりと体の後方や側面の筋肉を使う機会が減っています。背面や側面の筋肉が動くことが少ないため、筋肉の衰えやコリかたまりがおこるのです。
また、普段の生活で股関節を深く曲げのばすことが少ない、膝を伸ばさず膝から下で歩くなど、動作の癖や偏りで股関節や前ふとももが硬くなります。

日常生活で筋肉は硬くなる?

現代の日常生活では、大きな動作で関節を大きく動かしたり、体を大きく伸ばしたりすることはそう多くありません。筋肉の伸び縮みが少なくなると、当然筋肉は硬くなります。
朝起きるときに腰痛がある人は、特に以下の3点に心当たりがあるのではないでしょうか?※4

・寝方が自分にあっていない
・腰に疲れがたまりすぎている
・前日や寝る前に、腰の負担になる姿勢をとっていた

対策は、寝方を見直す、腰の疲れを取り除く、筋肉の硬い部分をほぐして柔軟性をあげることです。

朝起きるときの腰痛をやわらげる寝方

寝方や就寝時の環境には、人それぞれの体型や生活強度、好みや癖があるので一概には言えません。ただ、重みがかかるほど体の負荷が増え、寝返りもしにくくなります。また、低い室温でも体を丸く縮めて硬くする姿勢になりやすく、その分寝返りも減るのです。
以下に心当たりがある場合、朝起きるときの腰痛の原因になっているかもしれません。

・自分に合っていないパジャマ
・自分に合っていない寝具や寝具の劣化
・重い掛け布団、重ね布団
・お腹の上に手をおいたり、横向きの時に足を重ねたり、体の上に体をのせて寝ている
・泥酔や睡眠薬過剰摂取
・低すぎたり高すぎる室温
・体の冷え
・体の痛み
・疲れすぎ

上記の原因で、就寝時の体の動きが妨げられやすくなります。心当たりがある方は、まずこれらの改善を試してみるのもよいでしょう。その中でも、今日からできる朝起きるときに腰痛を起こさない工夫は、寝るときに体を重ねないことです。

体を重ねない

自分の手をお腹の上においても、意識している間はさほど負荷を感じませんね。しかし、寝ている他人の手が自分のお腹にのると、重みを感じて負担になるのではないでしょうか。このように睡眠中の体の緊張が緩んでいる状態の手足は重力への抵抗が減り、思うよりずっと重くなります。体の負担を減らすために、体を重ねない寝方を心がけてみましょう。

仰向け
手足を体幹から離し、密着する面を減らす大の字仰向けがおすすめです。
・手を枕がわりに頭の下におかない
・手を胸やお腹の上に重ねない
・気をつけの直立姿勢をとらない
・足首を重ねて足の上に足をおかない

横向き
体が重なる部分を避けるため、足は大きくずらす、クッションを挟む工夫をしましょう
・自分の片腕を枕にしない
・足の上に片足を重ねない
・両手を重ねない
・どうしても重なる場合は間にクッションを挟む
反り腰で仰向きが辛い場合は、腰や膝の浮いている部分に、バスタオルを挟んで負担を緩和してあげましょう。

マットレスの買い替えを検討する

マットレスを変えることで痛みが軽減することがあります。その理由を解説します。

お尻が沈み込むことを防ぐ

腰痛の原因の1つに「反り腰」があります。反り腰とは、背骨のS字カーブのうち腰椎の前弯が強くなることです。反り腰になる原因は、筋力の低下や体重増加などが考えられます。反り腰の状態が続くと腰に大きな負担が掛かり、慢性的な腰痛を引き起こす可能性があるのです。
このタイプの腰痛を持っている人は、柔らかい布団に寝るとお尻が沈み込み、腰痛が悪化する可能性があります。そこで、ある程度硬さのあるマットレスに変えることで腰痛改善が期待できます。

背骨のS字カーブをキープしやすい

人間はまっすぐに立った時、背骨が自然とS字カーブを描きます。腰痛になりにくい理想的な寝姿勢は、立っている時と同じようにS字カーブをキープできている状態です。布団や一般的なマットレスだと自然なS字カーブをキープしにくいため、専用マットレスに買い替えるのがおすすめです。
先ほど反り腰の人には硬めのマットレスをおすすめしましたが、硬すぎるマットレスでは腰や背中で体重を支えることになってしまいます。かといって柔らかすぎるマットレスではお尻が沈み込んでしまいます。腰痛対策を謳っているマットレスは、適度な硬さに調節されているため腰痛予防・改善に効果が期待できるのです。

寝返りを打ちやすい

人間は就寝中、無意識に寝返りを打っています。寝返りが多すぎても少なすぎても快適な睡眠はとれません。もし就寝中に寝返りを打たなかったら、重力や自分の体重で圧迫されて血液循環が滞ってしまいます。血行不良や酸素不足の状態が続くと、腰痛や頭痛の原因となるだけでなく、いくら寝ても疲れが取れにくい状態になりかねません。
その一方、寝返りの打ちすぎも腰へ大きな負担を掛けてしまいます。寝返りを適度に打てるマットレスに変えることで、腰への負担をやわらげて快適な睡眠をとることができます。

まとめ

朝起きたときにおこる腰痛の原因は、骨盤の動きが悪くなること、筋肉が硬くなることが大きく関係していました。とはいえ、ストレッチの継続は難しい方も多いものです。その場合、普段使われていない筋肉を意識して使ったり、体の伸び縮みを意識した動作をしたり、日常生活の心がけでも変化していきます。また、今日から簡単に取り組めるのは、自分に合った寝方に変えてみること。ぜひ試してみてくださいね。
腰痛が朝起きるときだけだと、なかなか病院にいく気にならないもの。自己判断は避け、ドクターアプリを使ってご自身の腰痛を正しく判断しましょう。腰痛は万病の元、早め早めの対応が欠かせないのです。

※1https://chosa.itmedia.co.jp/categories/lifestyle/88903
※2https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/lumbago_report_030731.pdf
※3http://sensait.jp/9616/
※4https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3448

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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