腰痛にはお風呂が良いと聞きますが、決して全ての腰痛に効果があるとは限りません。確かにお風呂に入ると良くなることがありますが、逆に悪化してしまう場合もあります。今回は、腰痛に対する正しいお風呂の入り方を解説していきます。

あなたはシャワー派?湯船派?

まず、腰痛関係なく、普段あなたはどのようにお風呂に入られているでしょうか?家族がいる場合は、お風呂を沸かして湯船に浸かるでしょう。逆に一人で暮らしている方は、お風呂を沸かすのが面倒なためシャワーだけで済ますことが多いです。それぞれのライフスタイルによってお風呂の入り方は違います。この記事では、腰痛にとってどちらが良いか、理由も合わせて説明します。

お風呂でシャワーの方が良い腰痛

シャワーとは、湯船に浸からずにシャワーだけで頭や身体を洗い、お風呂を済ますことをいいます。
ここでは、腰痛の中でもシャワーの方が、症状が緩和しやすいものを挙げていきます。

急性腰痛(ぎっくり腰)

急性腰痛とは、名前の通り急に腰痛が発生しているものです。主に「ぎっくり腰」がそれに当たります。ぎっくり腰は正式な病名ではなく、広い意味で急性腰痛といいます。主に、腰の筋肉に痛みが発生する「筋・筋膜性腰痛」で起こりやすいです。下記で紹介する「腰椎椎間板ヘルニア」もぎっくり腰(急性腰痛)に含みますが、それは後述します。

筋・筋膜性腰痛とは、姿勢を維持している脊柱起立筋という筋肉が、何らかの負荷により痛みを起こしている状態です。ぎっくり腰では、重たいものを持ち上げたり急に動いたり、無理な姿勢になったりした時に起こりやすいです。

症状が軽い方であれば、ピキッと痛みが走るぐらいで済みますが、重症の方は腰が抜けたような感じになり、立てなくなることもあります。西洋では、「魔女の一撃」とも呼ばれているぐらい、恐ろしい痛みが走ることもあります。
こんな腰痛の時、お風呂はシャワーで済ませましょう。なぜなら、急に痛めたものは筋肉が炎症を起こし、痛みを発生させています。そんな状態にも関わらず、湯船に浸かって身体を温めてしまうと、炎症は助長されてしまします。浸かっている時は気持ち良くても、後から炎症が強くなり余計に痛みが増してしまいますので、注意が必要です。
また、痛みが強い場合は、イスに座って頭を洗わずに、立ってすることをおすすめします。一度座ってしまうと、痛みで立てなくなる可能性があります。下半身を洗う時も、体勢は気をつけましょう。

急性の腰椎椎間板ヘルニア

前述の通り、腰椎椎間板ヘルニアもぎっくり腰に含みます。腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある衝撃を吸収するクッション(椎間板)が、急激な動作により脱出して神経を圧迫することにより、腰痛や坐骨神経痛を引き起こすものをいいます。特に若い方の方が、椎間板に水分を多く含んでいますので、脱出しやすいため発生します。
発生原因は、日常生活中にも筋・筋膜性腰痛と同じ発生機序で起こりますが、スポーツ中の発生が多いです。野球やサッカーでスライディングなどをした時、柔道で投げた時や投げられた時、ラグビーなどのコンタクトスポーツで相手選手とぶつかった時などで起こります。
筋・筋膜性腰痛と違い、症状は腰痛と共に足の痛みやシビレが出てきます。ぎっくり腰になり、足に症状が現れた場合は、一番に「腰椎椎間板ヘルニア」を疑います。椎間板が脱出した直後は、周囲で炎症を起こしていますので、湯船には浸からずシャワーでお風呂は済ますことをおすすめします。
また、前屈姿勢になると、余計に椎間板が脱出してしまい症状が悪化します。頭や足を洗う時は、特に注意してください。

お風呂で湯船の方が良い腰痛

次は、湯船の方が良い腰痛について紹介します。上記のような急性ではなく、慢性に湯船に浸かると効果的です。

慢性腰痛

慢性腰痛、いわゆる慢性の筋・筋膜性腰痛のことを指します。急激な動作で起こるものではなく、普段の疲労や不良姿勢などにより、腰の筋肉が血流不足となり腰痛が発生します。
このような腰痛の場合、お風呂でゆっくり湯船に浸かり、腰を温めると血流が改善して痛みを緩和させることができます。1 日の疲れを取り、筋肉の血流を良くすると、次の日腰痛が楽になります。

慢性の腰椎椎間板ヘルニア

急性の腰椎椎間板ヘルニアになった後、だいたい 1 ヶ月以上経った場合は慢性の扱いになります。慢性になれば、シャワーではなく、湯船に浸かる方が効果的です。腰の血流を良くすることで、椎間板の修復をサポートしてくれます。また、足の痛みやシビレのような、坐骨神経痛を和らげることもできます。

腰痛に効果的なお風呂の入り方とは?

お風呂においてシャワーや湯船に浸かる以外で、腰痛に効果的な入り方がありますので、紹介していきます。

入浴剤を使用する

これは余りにも有名ですが、湯船に浸かる時に入浴剤を使用すると、お風呂での腰痛改善効果が高まります。近年、色んな種類の入浴剤がありますが、血流改善や疲労回復効果のあるものを選びましょう。他には、自分の好きな香りにすると、リラックスできてより一層効果が高まります。

お風呂のイスを変えてみる

お風呂のイスはどんなものを使われていますか?大抵の方は、低めのイスを使われているでしょう。低いイスに座っていると、ヒザは余分に曲がりますので、腰を丸めなければ座れません。そのような姿勢で座っていると、腰痛は悪化以外しません。どんなに姿勢良く座ろうとしても、腰が丸まってしまいます。
ですので、高めのイスに変えてみましょう。変えてみると、びっくりするぐらい楽に座れて、腰に負担が少なくなります。イスの高さの目安は、ヒザと同じぐらいの高さか、それより少し低いものを選んでください。

湯船でストレッチをする

湯船に浸かっていて、広さに余裕がある場合は、中でストレッチをしてみましょう。広さが足りない方は、銭湯などに行った時に試してみてください。身体が温かい状態でストレッチをすると、ストレッチ効果が上がります。
ヒザを真っ直ぐ伸ばせる場合は、長座体前屈のようにストレッチしてみてください。太ももの後ろが伸ばされます。太ももの後ろと腰痛には、深い関わりがあります。太ももの後ろの筋肉は「ハムストリングス」といい、骨盤の後ろに付着しています。ハムストリングスが硬くなると、骨盤は後傾していまい、腰が丸まり腰痛が発生するのです。腰痛がある方の半数以上は、ハムストリングスが硬いので、ストレッチして柔軟性を高めましょう。
もう一つストレッチの方法があります。文字にすると少し分かりにくいですが、チャレンジしてみましょう。例えば、左足を伸ばして、右足は曲げて左足のヒザの外側に置きます。次に、左肘を右足のヒザの外側に当てて、体幹を右に回します。その状態で 30~1 分程キープします。このストレッチをすると、左側の腰が伸ばされます。反対側も同じ要領でしてください。

まとめ

同じ腰痛でも、お風呂の入り方で良くも悪くもなります。急性と慢性、それぞれに合った入り方をすることで、腰痛改善に繋がります。特に慢性的な腰痛は、急性よりも入り方で改善が見込めます。
急性は、どちらかというと悪化防止の側面が強いです。今回紹介した方法を、是非試してみてください。

<参考文献>
〇公益社団法人全国柔道整復学校協会・教科書委員会 柔道整復学・理論編改訂第 6 版(2018) 公南江堂
〇国分正一・鳥巣岳彦「標準整形外科学 第 10 版」(2008 年) 医学書院

著者情報

腰痛メディア編集部
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