くしゃみや咳をした瞬間、「あいたたた!」
腰に激痛が走って息もできない…ぎっくり腰を一度経験してしまうと、くしゃみや咳をすることが本当に恐怖ですよね。
くしゃみをする、咳をする時、実は腰にとても負担がかかっています。
今回は、ぎっくり腰とくしゃみや咳の関係、痛みを回避するコツをお伝えします。

「ぎっくり腰」とくしゃみや咳の関係

ぎっくり腰は日常で一番多い急性腰痛です。
荷物を持ち上げたり、腰をひねったりしたときに激しい痛みとなって生じることはよく知られていますが、実はくしゃみや咳が原因でぎっくり腰になることもあります。

たかがくしゃみや咳でどうして?と思われる方も多いでしょう。
くしゃみや咳をした瞬間の腰への負担は想像以上に大きいのです。

くしゃみや咳をしたときの腰への負担は?

一口にぎっくり腰といっても原因はさまざまで、対処法もそれぞれ違います。考えられる原因を挙げていきますので参考にしてみてください。

椎間板への負担

椎間板とは、背骨と背骨の間でクッションの役割を果たしている円盤状の軟骨です。

くしゃみをする時にかかる椎間板への圧力は、20kgの荷物を抱え上げたときと同じくらいともいわれています。

くしゃみや咳をした瞬間、加齢や圧迫負荷で傷んでしまった椎間板に大きな圧力がかかり、椎間板そのものが変形して強い痛みを生じます。また、椎間板から髄核という組織が飛び出して神経を刺激している状態、腰椎椎間板ヘルニアを発症します。

くしゃみや咳をした瞬間は、腹筋が働くことで上半身が「くの字」に折れ曲がってしまいますが、この姿勢はもともと椎間板への圧力がかかりやすい姿勢です。

椎間板への負担が原因で痛みがでている場合は、前かがみ姿勢を取らないよう、できるだけ直立でくしゃみや咳をするようにすれば痛みを回避できます。

また、一度傷んだ椎間板は元には戻りません。できるだけ機能を維持することが大事ですので、椎間板由来の痛みは、衝撃を避けるなどの予防が重要といえます。

筋肉への負担

くしゃみをすると上半身が大きく「くの字」に折れ曲がりますよね。

このとき、体の後面の腰や背中、おしりの筋肉に疲労が溜まっていたり柔軟性が低下していたりすると、体を折り曲げた瞬間に筋肉が引き伸ばされて傷ついてしまい、痛むことがあります。

この状態は「腰の肉離れ」といえるでしょう。

また、準備状態にない緩んだ筋肉が、急激に縮まることで痛みを生じることもあります。

同じ20kgの荷物を持つにしても、「今から持つぞ!」と心構えができる場合と、急にポンと渡されてキャッチする場合とでは、筋肉の働き方が違うことは何となく想像できますよね。

くしゃみや咳で体を折り曲げた結果、緩んでいた背中の筋肉が急激に引き伸ばされます。
引き伸ばされた筋肉は損傷しないように急激に縮もうとするのですが、この時に痛みを生じることがあります。

椎間関節への負担

くしゃみや咳で、椎間関節と呼ばれる背骨と背骨のつなぎ目の部分に負担がかかると痛みを生じます。

体を折り曲げた姿勢では、背中側にある椎間関節は離れていかなければなりません。ですが、椎間関節を包んでいる袋(関節包)に炎症や癒着があると、くしゃみや咳の衝撃で、関節が急激に離され、関節包が引き伸ばされたり断裂したりして痛みを生じます。

この状態は「腰の捻挫」といえるでしょう。

背骨への負担

骨粗しょう症で背骨(椎骨)の骨密度が低い方は、くしゃみや咳で起こる衝撃で背骨がつぶれてしまうこともあります。これは脊椎圧迫骨折といって、高齢者の4大骨折の一つです。

背骨への負担が原因で痛みがでている場合は、骨粗しょう症の治療が基本です。骨粗しょう症治療薬の内服や食事療法などを行います。

くしゃみや咳をするときに腰痛を回避するコツ

くしゃみや咳をするときに具体的にどのような方法をとれば腰痛を回避することができるのかを挙げました。

机に手をつく

前方に机がある状態で両手をつきます。上半身を手で支えることで、体が折れ曲がる動きを封じ込め、衝撃を抑えることができます。
また、体重を手で受けることで椎間板への負担がかかりにくいです。
片手をつくだけでも構いませんし、壁などで代用することも可能です。

立って上半身を直立にする

体を折り曲げないように直立姿勢をとります。体を折り曲げないことで、椎間板や筋肉、椎間関節への負担が減ります。
このとき、両手を腰にあてる要領で、両手でお腹を抑えると、体が倒れこむのを防ぐことができるのでより効果的です。
少し膝を曲げれば姿勢も安定し、太もも裏の筋肉も緩みやすいので腰や背中への負担も減るでしょう。

座る

座ることで体が安定するので、余計な筋肉の収縮が起こりにくいです。できるだけ直立姿勢をとりましょう。
前方に机があれば、手をつくことで、さらに衝撃を抑えることができます。

くしゃみや咳も怖くない!?ストレッチで腰痛に備えよう。

日頃から背中や腰の筋肉を柔軟にして、くしゃみや咳の衝撃に備えましょう。入浴後など、体が温まった状態で行うとより効果的です。

上体反らし

 背中はもちろん、腹部の柔軟性も高まります。

1. うつ伏せになって両肘を付き、上半身を起こします。
2. おなかを床に付けたまま、痛みが出ない程度に上半身を反らします。
3. 慣れてきたら、両掌で上半身を支えるようにします。
4. そのまま20~30秒キープします。

猫のびストレッチ

 肩甲骨~背中の柔軟性が高まります。

1.四つん這いになります。
2.両腕を床につけておしりを後ろに引くようにします。
3.そのまま20~30秒キープします。

太ももの後面を伸ばすストレッチ

1. 仰向けに寝た状態で、太ももの裏をもって膝をお腹に近づけます。
2. この時に、膝をできるだけまっすぐに伸ばします。
3. そのまま20~30秒キープします。

お尻と腰のストレッチ

1.両膝を両手で抱え込みます。
2.太ももを胴体の方に近づけて腰を丸めます。
3.そのまま20~30秒キープします。

※まずは片足ずつ交互に行っても構いません。ストレッチの強度が弱まり楽に行えます。

まとめ

・くしゃみや咳をすることでの腰への衝撃は大きく、ぎっくり腰を起こすこともある。
・くしゃみの衝撃や、急に体を折り曲げることで、椎間板、背中や腰の筋肉、椎間関節、背骨に負担がかかって痛みがでる。
・くしゃみや咳をするときは、「体を折り曲げないように直立姿勢でする」「机に手をつく」「座る」などの方法で痛みが和らぐ場合がある。
・日頃から背中や腰の筋肉を柔軟にすることで、くしゃみや咳をするときの腰痛を回避できる。

今回は、ぎっくり腰とくしゃみや咳の関係や痛みを回避するコツをお伝えしました。生理現象で、自分ではコントロールできないくしゃみや咳。事前の知識とストレッチで、あなたが痛みから解放されて、気持ちよくくしゃみや咳ができるよう願っています。

出典:
長谷川哲也『くしゃみ時における腰部負担の分析』日本人間工学会
山下敏彦『運動器の痛み診療ハンドブック』南江堂 p82~108
参考:くしゃみ時における腰部負担の分析

著者情報

腰痛メディア編集部

こんにちは。 腰痛で悩む多くの方に役立つ情報を毎日お届け。それぞれが違った痛みの場所・違った痛みの度合い・違った原因をお持ちです。 一人一人が自分の腰の状況(病態)を理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目標です。記事のご意見・ご感想お待ちしております♬

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