起床時に腰痛を感じる

起床して起き上がろうとしたら腰に痛みを感じることはありませんか。起床時に腰痛があると、これから始まる1日に消極的な気持ちが芽生えます。何とか活動をはじめると、不思議と日中には腰痛が軽快していたり、忘れてしまっていたりするということもあるかもしれません。そんな「起きるとき」に感じる腰痛についてその特徴や改善策などを本記事でまとめていきたいと思います。

腰痛の理由

起床時の腰痛には生理的要因だったり、外的要因だったりさまざまな原因があります。自分に当てはまる習慣や要因を見つけてみましょう。

入眠時の血行不良・冷え

入眠時には身体の動きが生理的に最小限になります。身体を動かさないことは血行の不良につながります。血行不良だと筋肉は硬直し、結果として動き始めようとする起床時に腰痛が伴ってしまいます。
また、身体を動かさない状態で冷やしてしまうのも同様に、筋肉の硬直や起き上がるときの腰痛につながってしまいます。

睡眠中に同じ姿勢でいる・睡眠時間が長すぎる

極端に寝返りが少ない人や、ついついうつぶせに寝てしまう人などは睡眠中の体動が少ないことで腰部などの局所に負担がかかってしまいます。睡眠時の姿勢は横向きが最適です。抱き枕の導入などで横向きで眠る癖をつけることが改善にながるかもしれません。
また、ダラダラと長時間布団で過ごす休日を送っている方も要注意です。臥床している時間が長いこともまた腰部への負担が増強し、腰痛へつながります。

寝具に原因がある

硬すぎる寝具や身体が沈むほどの柔らかすぎる寝具ともに腰痛を誘います。寝具が粗悪だと、寝返りや体動を阻害することにもつながります。「ただ寝るだけ」と思わずに長時間過ごす寝具だからこそこだわって選んでみましょう。

加齢による身体のこわばり

生理的な要因として、加齢に伴う身体のこわばりや関節可動域の低下が原因で腰痛が発生してしまう可能性があります。特に加齢性のヘルニアやリウマチなどは朝や起きるときに症状が強く出る場合もあります。

起床時だけではなく起き上がるたびに腰痛がある場合

腰の可動で常に痛みを伴う場合には、腰椎ヘルニアや炎症などが起こっている可能性が高いです。まっすぐ正面に起き上がろうとすると腰に負担がかかってしまうので、まずは横向きになり、手や腕、肘などでベッドを押すように体重をささえながら起き上がると楽に起き上がれます。また現在進行形で腰痛がある場合には、安静が基本となりますので無理に活動せず、腰痛対策に尽力をしましょう。

腰痛の対策について

入眠前にストレッチをして寝る

入眠中の血行を悪くさせないために、入眠前にストレッチをしてから眠るようにしてみましょう。筋肉が固くなるのを予防する効果があります。腰部のストレッチは他者に施行してもらうのが効果的です。しかし、単身者などの場合は、固めのボール(テニスボール)や、ツボ押しボール、ツボ押しローラーなどを腰の下に敷き、自分の体重でマッサージするのが簡単な方法です。いずれも施行中に疼痛を感じたら中止する必要があります。

湯たんぽや電機も無府などで身体を冷やさないように寝る

冬場は特に、通常寝具だけでは体が冷えてしまう日もあると思います。電気毛布や湯たんぽなどで身体(特に腰部)を温めながら眠りましょう。身体が冷えて、関節が動かしにくくなってしまうことを予防します。低温やけどには十分に注意する必要があります。

起床予定時刻よりも早く起きる

身体が冷える季節は特に、起床時間が遅くなってしまいがちです。しかし、起きるのが遅いと痛む腰を我慢しながら身支度することになります。疼痛があるときに無理に腰部を動かすのは逆効果で、腰痛悪化につながりかねません。起床予定時間よりも30分程度早起きして、腰痛が少し落ち着いてきてから活動し始めるという習慣をつけましょう。
また、いきなり起き上がろうとするのではなく、まずは大腿部を持ち上げてみる、身体の向きを変えてみる、ヒップアップしてみるなどして、疼痛の程度を把握してから活動にうつりましょう。

寝具の調整をする

寝具の硬さは、身体が沈まない程度の固綿程度が、腰痛改善には向いています。こう反発マットレスや、腰痛対策用マットレスなど種類がたくさんあるので寝具屋で相談しながら購入するのが最適です。

日常に運動を取り入れてみる

デスクワークや自粛生活の影響で筋肉を使わない状態が長期間になっている可能性はありませんか。階段の昇降や、散歩、ウォーキングなど簡単にはじめられそうな運動から日常生活に取り入れてみると、筋肉の可動性向上につながり、延いては腰痛対策につながるかもしれません。腰部の筋肉を動かすイメージで実践してみてください。

治療が必要な場合もある

腰痛の対策を先述してきましたが、予防策や対症療法だけでは根本的な治療にはならず腰痛を繰り返してしまう可能性が高いです。起きるときの腰痛には生活習慣や外的環境などの因子だけではなくて、脊椎の炎症や腎臓疾患などの「疾患」が隠されていることもあります。

硬直性脊椎円

若年層で発症する可能性の高い腰痛を主訴とする疾患です。夜間に疼痛がひどくなり、起床時にピーク、その後活動とともに軽快する腰痛が特徴的です。日本でも確定診断されている方は非常に少ない疾患です。専門医でも診断が難しく単なる「腰痛症」と診断されている方も少なくないと言われています。
治療としては、他の腰痛症と同様に鎮痛薬の使用や疼痛のコントロールをして、疾患と向き合っていく方針になることが多いですが、生物学製剤を使用したり手術療法で人工関節に置換したりすることで、根本的な治療を試みる場合もあります。いずれにしても早期の受診・確定診断・治療が肝になってきます。

体軸性脊椎関節炎

脊椎の関節に炎症が発生するのですが、レントゲンには反映されず、MRI検査や血液検査などで確定診断をします。症状は硬直性脊椎円と同様で治療方法も、準じています。3カ月以上の長期的な腰痛がある場合や、疼痛の程度に波がある、特定の動作の時に痛む、年々悪くなっている気がするなどの症状がある場合には医療機関への受診をした方が得策です。

腎臓疾患がある場合

人間の体内の不要なものをろ過し、尿を作る器官である腎臓がなぜ腰痛と関係があるのでしょうか。実は不摂生な生活をしていたり、腎臓の機能が落ちてしまっていたりする場合では、必要以上の負荷が腎臓にかかります。これが原因で腎臓周囲の筋肉・神経が引っ張られたり、圧力がかかったりします。腎臓は腰背部に位置する臓器なので特に腰痛が発生します。受診する病院に迷われてしまいそうですが、腰痛主訴の場合にはまずはお住まいの地域の整形外科に受診するのがよいでしょう。その後、本当に必要があれば検査の結果などから内科受診を指導されます。

まとめ

原因のわからない腰痛のことを総称して「腰痛症」などと呼びますが、原因のわからない腰痛はストレスを増幅させ、そのストレスがまた腰痛を悪化させます。特に、起きるときの腰痛は貴重な1日のモチベーションを下げてしまいます。
腰痛と生活の質(QRL)低下は切り離せないものですね。単なる寝起きの腰痛だと思っていたら、先述したように非常に深刻な疾患が潜んでいることもあります。年齢や体質のせいと腰痛改善をあきらめてしまわず、改善策や治療に取り組んでいくことで新しい生活が手に入れられることを祈っています。

参考文献
著 加藤 光寶『運動器 成人看護学』[系統看護学講座 ]出版社 医学書院, 発行年 2014
著 坂井建雄 / 岡田隆夫『解剖整理学』[系統看護学講座 ]医学書院, 発行年2014
著 武田宣子『リハビリテーション看護』[統計看護学]出版社 医学書院, 発行年 2015
腰痛対策|厚生労働省
日本腰痛学会

著者情報

腰痛メディア編集部
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