お相撲さんは腰痛知らずとよく言われますが、お相撲さんは腰痛にならないというわけではありません。重たい体重を支えているので、腰にかかる負担は平均体重の人の何十倍もあります。では、なぜお相撲さんは腰痛になりにくいと言われているのでしょうか?
今回はお相撲さんがなりやすい腰痛と、その予防策「四股」から学ぶ腰痛予防トレーニングを紹介したいと思います。

相撲は危険なスポーツ?

相撲は体重100kgを超える体と体のぶつかり合いなので、もちろん怪我をする危険性は十分あるスポーツです。また、重たい体重を支えるためにはそれを支えられるだけの筋力や、柔軟性が必要です。相撲は体づくりが一番大切と言っても過言ではなく、体づくりを怠れば腰痛になりやすく、すぐに怪我してしまうスポーツなのです。

相撲でなりやすい腰痛症

相撲をする人がなりやすい腰痛症もいくつか紹介していきます。腰痛かもと思ったら、初期対応が大切です。早めに医師の診察を受けて、その後の対応を仰ぎましょう。

椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間には、椎間板と呼ばれるクッションがあります。背骨は一つ一つこの椎間板クッションで繋がれていて柔軟な動きを可能にしているのですが、重たい荷物を持ち上げたり過度な負担がかかったりするとこの椎間板の中身が後方に飛び出します。それが周辺組織を刺激することで痛みを起こしたり、飛び出した椎間板の一部が神経にあたったりすることで神経症状を起こします。椎間板ヘルニアの原因の1つが体重と言われていて、無理な体重の増加は椎間板ヘルニアの要因の1つとも言えます。

腰椎すべり症

腰椎は5つの骨から成り立っていますが、そのうちの1つまたはいくつかが変性、分離することで腰椎すべり症が起こります。腰椎すべり症には様々な原因があると言われていますが、過度な運動負荷も腰椎すべり症の原因の1つとして考えられます。相撲は自分の体重を支えながらさらに運動をするスポーツなので、十分な筋力が伴っていないとそれだけ関節や靭帯への負担となり腰椎すべり症を起こすリスクとなります。

相撲で腰痛予防に必要な柔軟性と筋力

相撲は自分の体重を支えるだけでなく、相手からの技を上手くかわして自分の技を決めるために、瞬発力、パワー、持久性が問われるスポーツです。相撲で特に必要な柔軟性と筋力をチェックしていきましょう。

相撲で腰痛予防に必要な柔軟性

相撲では特に、股関節の柔軟性が必要とされています。股関節は特に可動域の広い関節の1つで、曲げ伸ばしだけでなく、外側内側への動き、捻る動きがあります。どの方向にも柔軟に動けるように、まずは関節をしっかりとストレッチしておくといいでしょう。
また、筋肉は太ももの前面にある大腿四頭筋、太ももの裏側にあるハムストリングスをストレッチするといいでしょう。大腿四頭筋はうつ伏せで寝た状態で上体を起こし、ひざを曲げるとストレッチできます。ハムストリングスは足を伸ばして揃えた姿勢で床に座り、そのまま上体を前に傾けていくとストレッチできます。筋肉は息を吐くときに伸びやすいです。深呼吸しながらゆっくりと時間をかけて行うと効果的です。また、お風呂上がりなど体が温まって血行が良くなっているときに行うのもいいでしょう。

相撲で腰痛予防に必要な筋力

相撲で特に必要な筋力は腹筋、背筋の体幹筋です。体幹の筋肉は、体を遊具のシーソーに例えると、支点の働きをしています。シーソーの支点がしっかりとしていれば、シーソーの両サイドはしっかりと上げ下ろしできますが、例えばシーソーの支点が柔らかかったら、シーソーは上手く機能しなくなりますね。体幹筋を鍛えることで、つまり体の軸を安定させることで、手や足で決める技がより安定して来るだけでなく、相手の技を受けるときに自分を守る盾として筋力が働いてくれます。
腹筋はひざを立てて仰向けで寝た姿勢から、頭を上げる運動でトレーニングできます。簡単すぎるという場合は、足を宙に浮かせてトレーニングしてみてもいいでしょう。
背筋はうつ伏せで寝た姿勢から、上体を起こすことでトレーニングできます。無理に体を起こすと腰痛の原因となってしまう可能性もあるので、無理のない範囲で毎日繰り返し行うよう心がけましょう。

相撲の基本「四股」は腰痛予防に効果的

お相撲さんが腰痛知らずと言われる理由の1つが四股です。四股は股関節の柔軟性、体幹の筋力の2つがバランスよくつけるのに理想的な動作だからです。四股を取る前の姿勢を腰割りと言いますが、腰割りだけでも腰痛予防になるだけでなく、ヒップアップやダイエット、代謝の向上にも効果があると言われています。お相撲さんでなくても、腰割り、さらには四股を筋力トレーニングに取り入れているジムやリハビリテーションも多いです。

腰割りの姿勢のとり方

腰割りは誰でも簡単にできるポーズです。初めはちょっときついと思うかもしれませんが、毎日継続して腰割りのポーズをとることで効果的な腰痛予防になります。

1.両足を肩幅よりも大きく開き、つま先は外に向けます。
2.両手はひざの上に軽く置きます。
3.背筋は伸ばした状態で、ゆっくりと腰を下ろしていきます。(深呼吸しながら行うと効果的です。)
4.腰を下ろした状態で、5秒ほど姿勢をキープします。(ひざはしっかりと外を向けて。股関節、太ももの裏側をストレッチします。どこがストレッチされているのかを意識しながら行うとより効果的です。お尻が後ろに出ないように、頭を天井から引っ張られている意識で行うといいでしょう。)
5.ひざをゆっくりと伸ばして、体を元の位置に戻します。
6.同じ運動を5回程度繰り返します。
※痛みがでない程度で行いましょう。

ここまででも十分ストレッチと筋力トレーニングの効果があり、腰痛予防に役立ちますが、もう少し挑戦できそうという人に、ワンステップ先の四股の踏み方も紹介します。
7.腰を下ろした状態で、片足を天井に向かってあげていきます。(このときひざ関節と股関節は90°曲げた状態でキープします。)
8.上げられるところまで高く上げて、1秒間そのままキープします。
9.勢いでおろさないように、ゆっくりと足を下ろしていきます。
10.左右の足を交互に、5回程度ずつ繰り返します。
股割りの姿勢から、足を上げることでさらにバランス能力も高まります。足を上げる動作は不慣れな人が行うとバランスを崩しやすいので、安全な場所を確保してから挑戦してみてくださいね。

四股上手は怪我知らず

プロのお相撲さんはトレーニングの中でも四股に時間をかけて何度も繰り返していると言います。四股はゆっくりと行うスロートレーニングですが、体の中でも重量割合の大きい筋力を使い、関節を柔らかくして姿勢を整えてくれるので、限られた時間でもできる効率的な筋力トレーニングと言えます。お相撲さんだから腰痛にならないのではなく、四股を含めたストレッチとトレーニングをしっかりとしているからこそお相撲さんは腰痛になりにくいのです。

おわりに

四股は自宅でも簡単にできるストレッチと筋力トレーニングが一緒になった画期的な動作です。ジムのようにどこかに通う必要もなく、トレーニング用のマシンなどを用意する必要もありません。自宅で誰もが簡単にできる運動なので、腰痛が気になる人は是非股割りや四股を上手く活用して、腰痛予防に心がけてくださいね。

参考文献、参考サイト
スポーツを科学する|日本経済新聞
股関節をゆるめて腰痛改善|静岡・お茶の市川園
四股トレーニングを行う4つのメリット

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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